卒業研究

僕は今まで、研究というものに対して、誇大妄想的な誤解をしていました。


まず、社会的需要や新規性という言葉に対して、あまりにも重く考えすぎていたようです。
「こんなのがあれば便利なんじゃない?面白いんじゃない?」程度でよかったものを、社会的需要という大きな言葉で考えるあまり、心理学や社会学の方向にまで発展してしまい、自分でも収拾がつかなくなっていました。
そのため、発表の時も上手く人に伝えることが出来ず、また教授とその場での歩み寄りというものも無かったために、どんどん迷走してしまっていました。
大義名分を保つためには、そのような視点も必要なのですが、そればっかりを気にしていると、話は大きくなるばかりで何も進みません。
僕はここで、目的と手段を入れ違えていました。
「そもそも何をしたかったのか」をしっかりと押さえていれば、背景や需要といったものは、その裏付けでしかないんです。

次に数字という言葉に対して、こちらも深く捕らわれすぎていたようです。
教授は数字が好きなようで、数字の出る実験をしきりに求めていました。
僕は前述のことから、心理学・社会学などの抽象論の方1へと迷走していたために、余計にそのことを強く言われ、数字についても深く悩んでいました。
そもそも数字というのは手段2でしかない筈なのに、あまりにも「数字が大事数、字が大事」と言われ続けたために、それを目的として見てしまい、更にはその「数字」というのが何を意味しているのかも解っていなかったので、ますます困惑していたのです。
周りに結果を信じて貰うために必要なのが数字であり、それが出来なければ使い物にならないという点から数字は導き出します。
数字もまた手段であり、目的ではないんです。

では、何が必要だったのか?

目的です。
僕は目的を見失っていました。

研究にはまず「仮説」があり、それを証明する「実験」があり、最後にそれをまとめて論文にするんだと、昨日友達が教えてくれました。
仮説というのは、「こういうものがあったらいいな」という発想を、「こういうものがあればこうなるだろう!」という断定した形に言い換えて作ります。3
よく考えてみたら、これは数学の証明でやっていたことと全く同じことでした。

この手順で自分のやりたかったことの「仮説」を立て、実験手順を考えてみると、面白いくらいに流れが見えてきました。
自分でまとめきれないほど膨張していたテーマですが、進路が見えた今、その全てが有益な材料になります。
仮説に対する実験を考えたら、数字もいっぱい出てきました。
実験では今まで考えてきた広い知識が大きく役立ちます。

周りに支えられてばかりですが、やっと卒業論文というものが見えてきました。
次の発表4は、11日の月曜日。
まずは次の月曜までに概要をまとめ、友達や先輩に見て貰おうと思います。
今度は目的がしっかり見えているので、前みたいなつかみ所のない発表にはならないはずです。
そこでだめ出しして貰って、次の発表でこそは、教授を納得させる発表にしたいと思います!

  1. 工学として見た場合の抽象論。
  2. 結果を証明するための
  3. これを更に「こうするためにこういうものが必要」という形に書き換えれば、背景や需要になります。
  4. 教授への卒論の進捗状況の発表。

2 thoughts on “卒業研究

  1. 稜刀せんせ

    (長い↓)
    これは程度問題だね~。
    「こんなのがあれば便利なんじゃない?面白いんじゃない?」が軽くなりすぎると、技術屋の自己満足。「重箱の角」研究。多いよ、そういう人。先生の側にも。(^^;)>
    「心理学や社会学(+生理学)の方向にまで発展」とか「これこれのことが解明・実現されない限り、ボクの研究は進まない」とかね。で、結局これは基礎科学に対する一種のコンプレックスともいえるんじゃない?
    ボクだったら、どちらのタイプ(↑)も「研究小僧」と呼んで、あんまり評価しないです。(注:カッコつきだよ)
    「こういう(技術屋の思い込みではない)社会的・産業的な必要性・目的がある」
    「前提がこの仮説のように解明されたとすると」「この代替の技術で実現されたとすると」
    として、話を前に進めるのよね~。
    こういう人が、先の見える、ビジョンの示せる技術屋じゃないかなぁ??

  2. ゆうあん

    難しい……。^^;
    中身がしっかりしてると仮定するなら、社会的需要の方は結構いくらでも考えられるんだ。
    心理学や社会学の方に広げていくのは意外と簡単。
    だけど、技術の方に掘り下げていくのは難しいね。
    途中何度も論理矛盾に躓いてる。
    「これって結局意味ないんじゃないか?」って。
    社会的需要が満たせるのは、モノがまだ曖昧だからなんだ。
    けど、机上の空論じゃなくて、やっぱり上から下まで通したいんだ。
    そして自分でその技術を使えるようにしたい。
    使って面白い物を作りたい。
    ビジョンを示すという面においては、研究家も技術屋も開発者も同じなのかもしれないね。
    しっかりとした目的と仮説を持っていきたいと思うよ。

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